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流星倶楽部『のんのんさん』

名前だけは知っていたが初めて観る団体。
伽羅倶梨関係で勧めてもらって。

二人芝居で1時間50分もたせられるというのはほんとうにすごい。
ベテランの力を感じた。

劇場の屋上を通って舞台裏をツアーさせてくれる試みや
客席につく前におみくじを引かせてくれる
遊び心も粋だ。

父親の介護のため田舎へ戻ってから
ちいさな神社を守ってきた女。
流れ流れてふるさとへ戻ってきた男。

淡々と物語りは進んでいく。
ラストにドラマをもってきたのがいい。

場面転換の音楽が同じような曲で統一感があって、
醸し出す空気にブレがない。

女を演じる小栗さんはほんとうにすごい。
マナーを守らない人たちが許せない正義感あふれる性格がはっきりと出ていて
男に指摘されて動揺したり、
声を荒げようとしたけど、自分に返ってきて語尾を飲み込んだりと
繊細な演技を見事に客に伝えていた。

男を演じるオットーさんはキャラクターが立っていて
それだけで存在感がある。

前半のことば遊びもおもしろい。
ほんのちょっとしたことばのすれ違い。
主語がないので相手が取り違え、いや、そうじゃなくてと
はっきり切り返すので、笑いが起きるのもわかる。

物語の展開もとっても興味深い。
むかしから馴染みのあるこの神社が
取り壊されて商業施設にされようとしている。
地元の人たちはだれもこの神社を必要としていなくて
署名を集めようとしてもうまくいかない。

二人はまるでかみさまに成りかわり、
お参りに来た人たちのお願い事をかなえようと画策し、
願いがかなった人たちの口コミで
突然このちいさな神社に人が押しかけるようになる。
他人として出会った二人の心が近づいていく。

男が書きつづける手書きのおみくじが飛ぶように売れ
そのお金で神社を残すことも夢ではない状況に。

ところがそううまくは行かず、
強制的に役所が立ち入り禁止にしていまい、
流れ者の男は、けじめをつけなければならなくなる。

海外放浪の末、パスポートを失くして不法入国の身の男。
男は海外で女の兄と共にいて、男の身代わりになって兄は死んだのだと明かす。

女はこのまま自分の兄として生きればいいと、覚悟を持って諭すが
男は自分だけなら流れて生きやすいように生きるが
兄のことを思うとそうはできないと言う。
それがぐっと心を打つ。

雨の中男がひとつの決意をもって飛び出していくラストシーンは
かっこよく、とても印象的だった。

芝居がかっこよかっただけに、そこに引き戸が実際にあって欲しかった。
小道具が具体的ななか、舞台上にない引き戸の演技をなぜするのかが
最初から気になってはいた。
戸のない芝居になぜしなかったのかがわかった。

また、盛り上がったままで終わってしまったのが、
なんだか少し心残りで、もうワンシーン観たかった。

何度もある転換でブル転(ブルーではなかったが)を多様しているのが、
もちろんこういう見せ方もあるのだろうとは思いながら
なんだかこのお芝居の場合は気持ちが切れてしまった。
小道具や衣装換えを減らし、人を使うなどして暗転にしてくれれば
もっとこの独特な転換音楽を聴けて、世界観を感じられたような気がする。

神社の中でのお話が本当によくできていて、リアルなだけに、
何度か伏線でも出てくる男の過ごした海外の話がぼんやりしたファンタジーで
そのトラウマが少しわかりにくくはあった。

だけど、女が後ろを向いて男の手の傷を手当てし、
男がひとりフラッシュバックするシーンは、
視覚的にもすてきで、どきどきした。

のんのんさんという、かみさまのことを二人は語る。
かみさまは、その人その人の中にいて、だけど、いない、
いるけど、いない。
そのことばがすごくよくわかる。

最初に男がそう話すのだが、
女もまた後から、自分のことばでそれをまた語る。
その、ことばにはなかなかならない気持ちもすごくよく伝わってくる。

また、誰のものでもない場所、地元の人たちが共有できる場所が
だんだんほとんどなくなってきていて
それは本当は必要なものなんじゃないかという話。

それを聞いて、資本主義というもの
個人の自由、所有権を持つことで精神的に確実に失われていくもの、
近代以降の人間の孤独を勝手に考えた。

そんなむずかしいことを
ことばで、お芝居で伝えるというのは
とても惹き込まれ、すごいなあと思った。

とっても安定感のある、繊細な、すてきなお芝居を観ることができた。
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辻野加奈恵 出演情報

●マキコミシアター第5弾
『イキナリ防衛軍』

【日時】
2017年4月
14日(金)19:00〜
15日(土)13:00〜 / 16:00〜 / 19:00〜
16日(日)13:00〜 / 16:00〜 / 19:00〜
【料金】
前売(Web) 3,000円 / 当日 3,500円
(ドリンク付)
【会場】
自由表現空間 シアターカフェNyan
【チケット】
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【詳細】
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辻野加奈恵です。
大阪でお芝居をしています。
【→more】2012.10 更新

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